研究生活初日

今日は大学院の初日だった。地獄の木曜日。12時半から授業が始まって、終わるのは21時。大学に換算すると3限〜7限まで授業があったことになる。それらすべてが演習授業。初日ということで特にやることもなく、時間だけが過ぎていった。

大変だったのは、2つ授業が終わった後のゼミだ。これは一番大切で一番辛いにもかかわらず単位に入らない。しかし、修論はここで磨いていくことになるので、決してさぼるわけにはいかない。ただ、自分はまだM1なので、発表はもう少し先である。

今日の発表は、M3かM2の先輩が一人と、合宿に来なかった同級生が担当だった。先に発表をしたのは同級生。卒論の発表なので、これは前座的な意味合いが強い。本番はもちろんM3の先輩だ。発表が1時間、討論が1時間の計2時間を一人のために費やす。つまらない発表だと眠くなってしまい、現に教授の一人は船を漕いでいた。

自分の知らない弁護士(これは確実に自分の勉強不足だ)をテーマにしていたが、どうやらここのところスランプらしい。あまり研究が進んでいないようなことを最初に口にしてから発表を始めた。

レジュメはあらかじめ手元に配布されていた。導入部を話しているうちに一通り目を通してみる。これから自分はどのようなレジュメを作れば良いのか、どのような論理展開が求められているのか、それを知らなければならない。

しかし・・・資料は豊富に掲載されているものの、自分の意見が全く書かれていない。資料に対する考察すら加えられていない。これでは単なる資料集であって、修論のレジュメとは言えないだろう。しかも文章で作っているために、書いてある文章を追っていくだけ。これでは何のための発表だかわからない。

と思っていたら、討論の時間で見事に、そして徹底的に指摘されていた。普段は穏やかで怒ったところを見たことのない教授まで厳しい言葉を投げかける。それは寝ていた教授なのだが、第一声が「これでは眠くなってしまいますよ」。そして実際に寝ていたわけである。

自分の意見がない、目的意識が曖昧だ、研究の意義は何か。必要な質問が次々と投げられる。もちろん言葉は選んでいるのだが、本質に迫るものばかりだ。学部では決して求めることの出来ない状況である。

正直言って、かなり忙しい生活を送ることになりそうだ。研究は最優先で取り組みたい。もしかしたらインターンもできないかもしれない。しかし、インターンをやるためや、就職するために大学院に進ませてもらったわけではないので、それはそれで仕方ないことだ。これまでの自分の勉強不足を呪うしかない。

それでも楽しい。少しずつステップアップしていくことが嬉しいし、自分よりもはるかにレベルの高い先輩に囲まれて院生活を送ることが出来るのが最高だ。ここにきて初めて文学部に進んだかいを感じることが出来た。まだまだ自分はのびる。その伸びしろを感じられるのだ。

昨日の面接などどうでも良くなってきた。昨日は正直にいってかなり凹んでいたのだが、見方を変えれば考え方も変わる。確かに昨日の面接の自分はダメだった。そしてそれを正確に指摘する社長は賢い人なのだろう。しかし、決して自分の理想とする人間ではない。厳しいことを指摘しなければならなくとも、罵倒する必要はない。昨日は確実に相手を罵倒するだけの目的で言葉を発していた面があった。そういうことに慣れたくはない。

これも自己正当化の一種かもしれない。ただ、自分が将来教職に就くのなら、発展途上の生徒たちに心無い言葉をかけるわけにはいかない。たとえ有能になったとしても、そういった面に無頓着になってしまったとすれば、それはむしろ退化だ。

それでもやはり昨日の社長には完全に打ちのめされた。いつの日か彼を見下すことなく見返すことの出来るようになりたい。そういう意味で、自分に対する理解が深まった気がする。それだけでも十分感謝に値する。がんばろう、まだまだがんばれる。